218

とてもいい天気。そこのコンビニまで自転車をこいでいると、やにわに視界の隅から、シジュウカラらしき鳥が静かに飛び出して、電線にとまった。とまった横には、鳥の仲間が二羽いて。さえずりを交わしていた。いい日和なのでパンと缶コーヒーを買って、たこ…

217

じいちゃんの訃報を受ける夢をみた。母にそのことを知らされたんだけど、存外母は落ち着いていて、その表情から、もうじいちゃんがいなくなったのを受け入れているのが、読みとれた。それを認めて安堵が悲しみを先回りして、泣けなかった。泣けないのが情け…

216

雲ひとつない、ペンキをべた塗りしたような紺碧の空がどこまでも続いている。朝いつも前を通る公園に、おばけ楠があって、紺碧を背にした、その巨大な楠の梢のすきまから、ぎらぎらと鮮烈な群青が主張している。その光景はなんだか、すでに完成した画に、楠…

215

よくあくびをする。と、よく指摘される。朝は特に出る。低血圧だからなのか、脳の酸欠が原因でうんちゃらかんちゃらなのかなんなのかしらないけれど。ふわふわふわふわ出る。って意識したらまた出た。あくびは、好きだ。あくびをすると、なにか自分の根幹と…

214

壊れた時計のように深く眠っていた。起床して、晴れていると見るやすぐに、寝具を干して、洗濯機を回した。ベランダから入ってくる風から、季節の変調が感ぜられて、なんだかそわそわする。昼過ぎ、朝の快晴は一転し、鬱々とした曇天になる。猛風がぴゅうぴ…

213

日付けが今日になるころにエデンの東を読み終わった。少し参っていたのも相まって、クライマックスで感情移入しすぎて視界にぱちぱち火花が閃いて、目眩がした。午前4時あたりから間歇的に入眠と覚醒を繰り返す。うつらうつらしているうちに、いつの間にか…

212

まだまだ寒い。ぴんと張った冬の快晴。空は高く、遠くで雲がまばらに散らばっている。雲たちの規模はまちまちで、うすくて小さいのや、厚くて大きいの。きれぎれのちぎれ雲。それらが悠々と気ままに漂泊している。側道に錆色のキジバトが一羽、ぽてぽて歩い…

211

夢うつつのなか。締め切った暗い部屋で、自分の呼吸音とエアコンの送風音だけが交互に聞こえる。吐く息に追蹤する風。ふたつの律動は交わることなく、平行線をたどる。なにか夢を見た感触はあるけれど、内容が思い出せない。いくら追想してみても、断片すら…

210

起床するもまどろみが重く、アラームが鳴ってから5分くらい布団の中で丸まっていた。スマホでニュースを繰ると、京都やいろんな地域で大雪警報が出ていた。こっちは快晴で、昨日より暖かい。少し湿度も高いのだろう、空気が澄んでいて、視界が明瞭だった。…

29

朝、空は鉛色でシャーベットみたいな重いみぞれがぼとぼとびちゃびちゃ降っていた。みぞれは時間が経つにつれ、雪、小雨、と変化してまた軽いみぞれを経て重いみぞれへと戻っていった。変転は風が強くて雲の動きが速いせいだろうか、盈虧を連想して少し可笑…

28

冬の最後の抵抗のような酷寒がここ数日続いている。低血圧で冷え性の自分にはとてもつらく 、毎朝布団から出るのが億劫だ。ひねもすエアコンを背にこたつにへばりついてうとうとしていたいけど、そうもいかぬが世の常、ナベツネ ってかんじで、毎日凍てつい…