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朝、風がつよい。雪がたくさん降っていた。あちゃあと傘を持って家を出たんだけど、雪はものの3分ほどでぱたりと止んでしまった。しかし依然として空は晴れず、黒煙のような雪雲が頭上にもうもうとたちこめていた。通りかかった公園をふいに見やると、隅で番の小鳥のように並んだ紅梅と白梅が、ひっそりと咲きこぼれていた。

大きな黒い雪雲の塊が、風に流されて、虫食いのような小さな穴がたくさん、疎らに開きぼろぼろになる。そして虫食いから、群青が徐々に侵食していく。その光景は、ちょうど紙に付いた火が、それを焦がしながら燃え拡がっていくさまに似ていた。

正午を過ぎ、風が急激に強まる。そして気温はどんどん下がる。はやく暖かくなってほしいなあ、と考えながら。春の嵐すさぶ街を、ぼんやりと眺めていた。

人を待ちながら、スタバでぼうと本をよんでいる。横の人の話が嫌でも耳に入る。その内容がなんとなくいやな感じで。しんどくなってしまった。