218

とてもいい天気。そこのコンビニまで自転車をこいでいると、やにわに視界の隅から、シジュウカラらしき鳥が静かに飛び出して、電線にとまった。とまった横には、鳥の仲間が二羽いて。さえずりを交わしていた。

いい日和なのでパンと缶コーヒーを買って、たこ公園で本を読む。
そこはほんとは多幸公園という名で、僕が物心つく前から親しんでいる馴染みの公園だ。幼い時分に多幸なんて言葉を知る由もなく、周りの大人が たこうの う を省略してたこたこ呼ぶので、たこ公園だと思い込んでいた。たこの遊具もないのにどこがたこなんだろう、と不思議に思うこともあったが、特にそのささやかな疑問を追求することもしなかったので、自分の中では、そこは未だにたこ公園で定着してしまっている。
たこ公園は、程よい広さで閑静で、陽当たりが良くてベンチが多く、ゴミ箱も随所に設置してある。桜の木は丁度いい感じに植わっていて、自販機も周囲にたくさんあって、おまけにノスタルジーに浸ることができる。僕の理想の公園像の要項をほとんど満たしている、まさにベストプレイスだ。
陽射しは円く、風のそよぎが安らかで、少し冷ややかなのが却って心地よかった。こどもたちが近くにいるのに、それらのはしゃぎ声は風に紛れてなんだか遠くの波音のよう。目前のジャングルジムで遊ぶグループが2回入れ替わったところで本を閉じて、たこ公園をあとにした。

夜、叔父と叔父の友人と酒を飲む。飲みすぎというより食べすぎでおなかがくるしかった。櫻一文字という日本酒をはじめて飲んだ。なかなかいける。一軒目がときたま行く海鮮メインのチェーン居酒屋だったんだけど、そこが専売してる「蟻」という焼酎の名前がなんか可笑しくていつも注文してしまう。蟻。
酔うとつい友達にべたべたしたラインをしてしまう。シラフの友達に、当然鬱陶しがられる。でも冷たくあしらわれるのがうれしくて、余計絡んでしまう。いつも翌朝起きてから、すこし反省する。