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夢うつつのなか。締め切った暗い部屋で、自分の呼吸音とエアコンの送風音だけが交互に聞こえる。吐く息に追蹤する風。ふたつの律動は交わることなく、平行線をたどる。

なにか夢を見た感触はあるけれど、内容が思い出せない。いくら追想してみても、断片すら出てこず、見たことのない構造物の上辺だけをなぞるような感じ。その輪郭以外は、影。
喉が渇いていたからキッチンに上がって水を勢いよくたくさん飲んで、コーヒーを入れた。
なにも考えずに何時間か転がっている。外はいい天気。

老いた友人と昼から酒を飲む。友人が好きな本や映画、音楽の話をする。2人とも意気投合し、王将でたくさん食べて、杯を重ねていい気持ちになる。少し飲みすぎた。帰宅してよこになって、起きると外は真っ暗。晩ごはんどうしよ。←どん兵衛の力うどん食べた。

今日がねむりと酔いのベールに包まれる。そこにきらめく優しい憂いと享楽、それらを僕は心地よい川床から眺めている。
遠のいていく、熱くて儚いものたち。